「手をつないでいて引っ張ったら、急に泣き出して腕を動かさなくなった」「腕をだらんと下げたまま、おもちゃを取ろうとしない」。小さなお子さんにこんな様子が見られたら、肘内障(ちゅうないしょう)かもしれません。
館林市の本沢整骨院の柔道整復師が、肘内障が起こる仕組みと起こりやすい場面、骨折との見分け方、起きたときにすること、くり返さないための注意点を解説します。
- 肘内障とは何か、なぜ起こるのか
- 「肘内障かも」と思うお子さんの様子
- 骨折など、すぐに整形外科を受診したほうがいいサイン
- 起きたときにすることと、くり返さないための注意点
肘内障とは
肘内障は、肘の外側にある骨(橈骨:とうこつ)の先を包んでいる輪のような靭帯から、骨の先が少しずれてしまう状態です。「肘が抜けた」と言われることもあります。
小さな子どもは骨や靭帯がまだやわらかく、腕を急に引っ張られると、骨の先が輪から外れかかってしまいます。大人ではほとんど起こらない、子ども特有のケガです。

こんな様子なら肘内障かもしれません
小さな子どもは、どこが痛いかをうまく言葉にできません。「手首が痛い」「肩が痛い」と言うこともあります。次のような様子がないか見てあげてください。
- 手を引っ張った・腕をひねった直後に、急に泣き出した
- 片方の腕をだらんと下げたまま、動かそうとしない手のひらが下(または後ろ)を向いたままのことが多いです
- おもちゃやお菓子を、反対の手でしか取ろうとしない
- 腕を上げようとしない、肘を曲げ伸ばしすると痛がる
- 肘のまわりに、目立つはれや内出血がない
※当てはまるものが多いほど肘内障の可能性がありますが、骨折でも似た様子になることがあります。次の「すぐに整形外科を受診したほうがいいサイン」もあわせて確認してください。
肘内障が起こりやすい場面
- 手をつないで引っ張ったとき道路を渡るときや、転びそうになったときに、とっさに手を引き上げる場面で多く起こります
- 手を持って持ち上げたとき両手を持って体を持ち上げたり、ぶら下げてぐるぐる回したりする遊びでも起こります
- 着替えのとき袖に腕を通すときに、手を引っ張って通そうとして起こることがあります
- 寝返りや転んだとき赤ちゃんでは、寝返りのときに腕が体の下にはさまって起こることもあります
- 高いところから落ちた、転んで手や肘を強くついた
- 肘がはれている、内出血がある、形が変わって見える
- 肘を軽くさわっただけで強く痛がる
- 指が冷たい・色が白っぽい、指を動かさない
- 引っ張った覚えがないのに、腕を動かさない
このような場合は、肘のまわりの骨折などの可能性があり、レントゲンでの検査が必要です。夜間や休日で受診に迷うときは、小児救急電話相談(#8000)に相談する方法もあります。
肘内障と骨折の見分け方の目安
| 肘内障 | 骨折の疑い | |
|---|---|---|
| きっかけ | 手や腕を引っ張られた、ひねった | 高いところから落ちた、転んで強く手をついた |
| はれ・内出血 | ほとんどない | はれや内出血が出てくることが多い |
| 痛がり方 | 腕を動かそうとすると泣くが、じっとしていると落ち着いていることが多い | じっとしていても痛がり、さわると強く痛がる |
※あくまで目安です。見た目だけでは判断できないこともあるため、迷う場合は整形外科を受診してください。
肘内障が起きたときにすること
- 無理に腕を動かさない曲げたり伸ばしたり、引っ張ったりして確かめるのはやめましょう
- 自分で戻そうとしないインターネットの動画などを見て戻そうとすると、骨折だった場合に悪化させることがあります
- 楽な位置で腕を支えるお子さんが楽にしている位置のまま、タオルや三角巾で腕を体の前に軽く支えます
- 早めに受診するどんな場面で起きたかを、受診先で伝えられるようにしておきましょう
※しばらくして自然に戻り、腕を使い始めることもあります。戻ったように見えても、はれや痛みが続く場合は受診してください。
肘内障は、骨の先を元の位置に戻す処置(整復)で、多くはその場で痛みがやわらぎます。急なケガのため、健康保険が使えます。来院前にお電話をいただくとスムーズです。平日は21時まで(19時以降は完全予約制)、土曜は14時まで受け付けています。
本沢整骨院での肘内障の対応
- お話をうかがういつ、どんな場面で起きたか、転んだりぶつけたりしていないかを、保護者の方からくわしくうかがいます
- 状態の確認はれや内出血、さわったときの痛がり方、指の動きなどを確かめます。骨折が疑われる場合は整復をせず、整形外科をご紹介します
- 整復お子さんの肘と手首をやさしく支え、骨の先を元の位置に戻します。処置は短い時間で終わります
- 腕を使えるかの確認多くの場合、数分〜十数分ほどで、おもちゃに手を伸ばすなど腕を使い始めます。腕を使えるようになったかを一緒に確かめます
- ご家庭での注意点のお話くり返さないための手のつなぎ方や抱き上げ方、帰宅後に気をつけることをお伝えします
※時間がたってから来院された場合などは、腕を使い始めるまでに時間がかかることがあります。痛みやはれが続く場合は、整形外科での検査をおすすめします。
くり返さないための注意点
肘内障は、一度起こると同じ腕でくり返しやすいケガです。成長とともに靭帯がしっかりしてくると起こりにくくなりますが、それまでは日常の中で次のことに気をつけましょう。
手をつなぐ急に引っ張らない
転びそうになったときや、道路で止めたいときも、手だけを強く引き上げないようにします。手首より、腕全体を包むように持つと安心です。
抱き上げる脇の下を持つ
抱き上げるときは、手や腕ではなく、両脇の下を持って体ごと持ち上げます。
遊び腕を持って振り回さない
両手を持ってぶら下げる、ぐるぐる回すなどの遊びは、肘に大きな負担がかかります。
着替え袖は服のほうを動かす
袖に腕を通すときは、手を引っ張らず、袖口を広げて服のほうを腕に通すようにします。

お子さんのケガ全般については「お子様の怪我やスポーツ障害の相談」もご覧ください。
よくある質問
Q.家で戻してもいいですか?
A.おすすめしません。肘内障と思っていても骨折だった場合、動かすことで悪化させることがあります。腕を楽な位置で支えて、整骨院や整形外科を受診してください。
Q.戻したあとは、すぐに腕を使っても大丈夫ですか?
A.痛みなく腕を使えていれば、ふだん通りに過ごして大丈夫なことがほとんどです。その日は腕を引っ張る遊びを控え、はれや痛みが出てきた場合はご相談ください。
Q.くせになりますか?何歳まで気をつければいいですか?
A.一度起こった腕は、くり返しやすい傾向があります。成長とともに起こりにくくなり、小学生になるころにはほとんど起こらなくなります。それまでは、手を急に引っ張らないように気をつけましょう。
Q.レントゲンは必要ですか?
A.手を引っ張られたなど、肘内障の典型的なきっかけで、はれもない場合は、レントゲンを撮らずに整復することが多いです。転んだ・落ちたなどのきっかけや、はれ・内出血がある場合は、骨折を確かめるために整形外科でのレントゲン検査が必要です。
Q.整骨院で健康保険は使えますか?
A.はい。肘内障は急なケガのため、健康保険の対象です。保険証(マイナ保険証)と、お持ちの方は子ども医療費の受給者証をお持ちください。料金は施術メニュー・料金をご覧ください。
Q.夜や日曜日に起きたときは、どうすればいいですか?
A.当院は平日21時まで(19時以降は完全予約制)、土曜14時まで受け付けています(日曜・祝日は休診)。まずはお電話ください。休診時間で受診に迷うときは、小児救急電話相談(#8000)や、お近くの救急外来にご相談ください。
どんな場面で起きたかを確かめ、肘内障であれば整復を行います。骨折が疑われる場合は、整形外科をご紹介します。お気軽にお電話ください。
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監修:院長 本澤博文(柔道整復師)

