肉離れ(筋挫傷)のリハビリ|重症度分類とふくらはぎ・太ももの段階別メニュー、復帰の目安

「ダッシュした瞬間に太ももの裏がピキッとした」「テニスで踏み込んだら、ふくらはぎを後ろから蹴られたような痛みが走った」。スポーツ中に多いケガが肉離れ(筋挫傷)です。

肉離れは、痛みが引いたからといってすぐに競技へ戻ると、再発しやすいケガです。重症度に合わせて段階的にリハビリを進め、筋力と柔軟性をしっかり取り戻してから復帰することが大切です。

この記事では、館林市の本沢整骨院の柔道整復師が、肉離れの重症度分類と復帰までの目安、受傷直後の対応、ふくらはぎ(腓腹筋)・太ももの部位別リハビリメニュー、再発を防ぐポイントを解説します。

目次

肉離れ(筋挫傷)とは|打撲との違い

肉離れは、筋肉が引き伸ばされながら強く力を出したときに、筋肉の線維や、筋肉と腱のつなぎ目が傷ついたり切れたりするケガです。医学的には「筋挫傷」「筋損傷」とも呼ばれ、重いものは「部分断裂」「完全断裂」と表現されます。

肉離れ(自分の力で傷める)ダッシュ、ジャンプ、踏み込み、キックなど、自分の筋肉の急な収縮で起こります。「ブチッ」「ピキッ」という感覚を伴うことがあります。
打撲による筋挫傷(外からの衝撃で傷める)相手の膝が太ももに当たるなど、外からぶつかった衝撃で筋肉が傷つくものです。いわゆる「ももかん」もこれにあたります。

どちらも「筋挫傷」と呼ばれることがありますが、起こり方が違うため、リハビリの進め方も少し変わります。この記事では、主に肉離れについて解説します。

肉離れが起こりやすい部位と特徴

肉離れが起こりやすいハムストリングス・大腿四頭筋・内転筋・ふくらはぎの位置
肉離れが起こりやすい筋肉の位置
部位 起こりやすい場面 特徴的な症状
ふくらはぎ
腓腹筋・ヒラメ筋
テニス、バドミントン、バスケットボールの踏み込みや方向転換。30〜50代に多い 「後ろから蹴られた」ような痛み、つま先立ちがしにくい、歩くと痛い
太もも裏
ハムストリングス
短距離走、サッカー、ラグビーなどのダッシュ 走っている途中の鋭い痛み、膝を曲げると痛い、前かがみがつらい
太もも前
大腿四頭筋
サッカーのキック、ジャンプ、ダッシュのスタート 膝を伸ばす力が入りにくい、階段がつらい、腫れや内出血
太もも内側
内転筋
サッカー、アイスホッケー、スケートなどの切り返し 足の付け根から太もも内側の痛み、脚を閉じる動きで痛い

肉離れの重症度分類と復帰までの目安

肉離れは、傷ついた程度によって大きく3段階に分けられます。重症度によって、リハビリの期間や進め方が変わります。

重症度 状態と主な症状 競技復帰の目安
Ⅰ度
軽度
筋線維の小さな損傷。押すと痛い、伸ばすと軽く痛むが、歩行や日常生活はほぼ問題ない 1〜2週間程度
Ⅱ度
中等度
筋線維の部分断裂。歩くと痛い、腫れや内出血が出る、力が入りにくい 3〜6週間程度
Ⅲ度
重度
筋肉や腱の完全断裂。強い痛み、へこみ(陥凹)がわかる、力がほとんど入らない 数か月以上。手術が必要になることもある
MRIによる分類(奥脇分類)について
スポーツ医学の現場では、MRIで「どこが傷ついているか」をみて分類する方法も使われています。筋肉の部分だけの損傷(Ⅰ型)より、筋肉と腱のつなぎ目の損傷(Ⅱ型)、腱が骨に付く部分の損傷(Ⅲ型)のほうが、復帰までに時間がかかる傾向があります。正確な重症度の判断には、整形外科でのMRIやエコー(超音波)検査が役立ちます。

※期間はあくまで目安です。年齢、部位、競技、リハビリの進み具合によって前後します。

肉離れをしたら|受傷直後の対応

  1. すぐにプレーを中止する「まだ動ける」と続けると、損傷が広がることがあります。
  2. 痛めた部分を休ませる痛みの出る動きは避け、体重をかけると痛い場合は無理に歩かないようにします。
  3. 圧迫して、心臓より高く上げる弾性包帯などで軽く圧迫し、脚を高くして休むと、腫れや内出血を抑えやすくなります。
  4. 冷やすのは短時間で痛みが強いときに短時間冷やすのはかまいません。ただし、長時間冷やし続けることで治りが早くなるという十分な根拠はありません。
受傷直後に避けたいこと
痛めた部分を強くもむ、無理にストレッチする、長風呂で温める、飲酒する、といったことは、内出血や腫れを強めることがあります。受傷から数日は控えましょう。

すぐに整形外科を受診してほしいケース

  • 体重をかけられない、まったく歩けない
  • 筋肉にへこみがある、力がほとんど入らない完全断裂の可能性があります
  • ふくらはぎを痛めて、つま先立ちがまったくできない、アキレス腱のあたりが痛いアキレス腱断裂の可能性があります
  • 急に大きく腫れてきた、痛みがどんどん強くなる、脚がしびれる
  • 2週間たっても痛みがほとんど変わらない

当院でも初回に状態を確認し、画像検査が必要と考えられる場合は、整形外科の受診をおすすめしています。

肉離れのリハビリの進め方(4つの段階)

Ⅱ度(中等度)を想定した、一般的な流れです。期間よりも、「次の段階に進む目安」をクリアできているかを基準に進めます。

  1. 急性期
    受傷〜3日ほど
    痛みと腫れを抑える。安静・圧迫・挙上。痛みの出ない範囲で隣の関節を動かす
  2. 回復初期
    〜2週間ほど
    傷ついた組織の修復を助ける。痛みのない範囲で関節を動かし、軽い筋力トレーニングを始める
  3. 回復後期
    2〜6週間ほど
    筋力・柔軟性を取り戻す。体重をかけたトレーニング、バランス練習、軽いジョギング
  4. 競技復帰期
    6週間以降が目安
    ダッシュ、切り返し、ジャンプなど競技の動きを段階的に再開し、再発予防も行う
次の段階へ 進む目安
急性期 → 回復初期 安静時の痛みがほとんどない、腫れが落ち着いてきた
回復初期 → 回復後期 普通に歩いても痛くない、軽い筋力トレーニングで痛みが出ない
回復後期 → 競技復帰期 ジョギングで痛みがない、ストレッチで左右差がほとんどない

部位別のリハビリメニュー例

代表的なメニューの例です。どの運動も痛みの出ない範囲で行い、痛みが出たら1つ前の段階に戻ります。実際のメニューは、状態を確認したうえで調整します。

ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の肉離れ

段階 メニューの例
回復初期 座って足首を上下に動かす運動、タオルを足先にかけて軽く引く、座ったままかかとを上げる(座位カーフレイズ)
回復後期 立って両脚でかかとを上げ下げする(カーフレイズ)→ 片脚のカーフレイズ、段差でかかとをゆっくり下ろす運動、片脚立ちのバランス練習、軽いジョギング
競技復帰期 その場での軽いジャンプ(両脚→片脚)、ダッシュ、方向転換、競技の踏み込み動作
【仮画像2】ふくらはぎのリハビリ(カーフレイズ)壁や手すりに軽く手を添えて、両脚(または片脚)でかかとを上げている写真。横から全身が入るように(当院で撮影。顔は写さなくてOK)
推奨サイズ:横1200×縦800px
ふくらはぎのリハビリ:カーフレイズ(かかとの上げ下げ)

太もも裏(ハムストリングス)の肉離れ

段階 メニューの例
回復初期 うつ伏せで膝を軽く曲げ伸ばし、あお向けでお尻を少し持ち上げる(ブリッジ)、痛みのない範囲での軽い力の入れ方の練習
回復後期 片脚ブリッジ、立って上体を前に倒す運動(ルーマニアンデッドリフト)、ジョギング、徐々にスピードを上げるランニング
競技復帰期 ダッシュ、加速・減速、ノルディックハムストリング(膝立ちから上体をゆっくり前に倒す運動)などの再発予防トレーニング

太もも内側(内転筋)の肉離れ

段階 メニューの例
回復初期 あお向けで膝の間にボールやクッションをはさみ、軽く押しつぶす運動
回復後期 横向きに寝て下の脚を持ち上げる運動、横方向へのステップ、ゆっくりとした開脚ストレッチ
競技復帰期 サイドステップ、切り返し、キック動作、横向きで体を支える内転筋トレーニング

競技復帰の目安

次の項目をすべてクリアできているかを確認してから、練習に完全復帰しましょう。

  • ストレッチをしても痛みがなく、柔軟性に左右差がほとんどない
  • 痛めた側の筋力が、反対側のおおむね90%以上まで戻っているふくらはぎなら片脚カーフレイズ、太もも裏なら片脚ブリッジの回数などで比べます
  • 全力に近いダッシュ、切り返し、ジャンプをしても痛みや不安感がない
  • 競技の練習メニューを、痛みなく一通りこなせる

肉離れをくり返さないために

肉離れは再発しやすいケガです。痛みが消えても、筋力や柔軟性が十分に戻っていないまま復帰すると、同じ場所をまた傷めやすくなります。

  • 練習前のウォーミングアップで、体温と心拍数を上げてから動く
  • 筋肉が伸ばされながら力を出すトレーニング(ノルディックハムストリング、段差でのかかと下ろしなど)を続ける
  • 疲れがたまっているとき、練習量が急に増えたときは特に注意する
  • 復帰を急がず、復帰後もしばらくは再発予防のトレーニングを続ける

本沢整骨院の肉離れへの対応

当院では、電気施術やマッサージをただくり返すのではなく、回復の段階と競技復帰を見すえた計画的なリハビリを行います。

1. 状態の評価

いつ・どんな動きで痛めたか、押したときの痛み、筋力や関節の動き、歩き方を確認します。完全断裂やアキレス腱断裂などが疑われる場合は、整形外科をご紹介します。

2. 痛みと腫れを抑える施術

受傷直後は、電気施術や圧迫・固定などで痛みと腫れを抑え、回復しやすい状態を整えます。

3. 段階的なリハビリ

回復の段階に合わせて、関節の動き、筋力、柔軟性、バランスを取り戻すトレーニングを進めます。ご自宅でできるメニューもお伝えします。

本沢整骨院でのリハビリ・トレーニングの様子
本沢整骨院でのリハビリ・トレーニングの様子

4. 競技復帰と再発予防

競技の動きに近いトレーニングで復帰の準備を整え、再発を防ぐための体の使い方やトレーニングをお伝えします。

健康保険について
肉離れのように、原因がはっきりしている急なケガは、健康保険が使える場合があります。保険が使えるかどうかは、初回に状態を確認してご説明します。料金は施術メニュー・料金をご覧ください。

よくある質問

Q.肉離れと筋挫傷は同じですか?

A.肉離れは、医学的には「筋挫傷」や「筋損傷」にあたります。ただ「筋挫傷」は、打撲など外からの衝撃で筋肉が傷ついた場合にも使われる言葉です。自分の筋肉の急な収縮で傷めたものを、一般に「肉離れ」と呼んでいます。

Q.歩けるけれど痛いです。受診したほうがいいですか?

A.歩けても、Ⅱ度(部分断裂)の肉離れであることは珍しくありません。自己判断で運動を再開すると悪化や再発につながりやすいので、一度状態を確認することをおすすめします。

Q.肉離れは何日くらいで治りますか?

A.目安として、軽度で1〜2週間、中等度で3〜6週間、重度では数か月以上かかることがあります。部位や年齢、リハビリの進み具合によって変わります。

Q.冷やしたほうがいいですか?温めたほうがいいですか?

A.受傷直後は、痛みが強いときに短時間冷やすのはかまいませんが、長時間冷やし続ける必要はありません。数日は温めすぎ(長風呂など)を避け、腫れが落ち着いてきたら、痛みの出ない範囲で動かしていきます。

Q.いつから運動を再開していいですか?

A.日数よりも、痛みや筋力の回復具合で判断します。この記事の「次の段階に進む目安」や「競技復帰の目安」を参考に、段階的に再開してください。

Q.健康保険は使えますか?

A.原因がはっきりしている急なケガは、健康保険が使える場合があります。初回に状態を確認してご説明します。

まとめ

  • 肉離れ(筋挫傷)は、筋肉が伸ばされながら強く力を出したときに起こるケガです
  • 重症度はⅠ度〜Ⅲ度に分けられ、復帰までの期間の目安が変わります
  • 受傷直後はプレーを中止し、安静・圧迫・挙上。強くもむ・温めすぎるのは避けます
  • リハビリは「次の段階に進む目安」をクリアしながら、段階的に進めます
  • 痛みが消えても、筋力が反対側の90%以上に戻るまでは復帰を急がないことが再発予防の鍵です
肉離れからの競技復帰、サポートします

状態を確認し、回復の段階に合わせた施術とリハビリで、安心して競技に戻れるようお手伝いします。平日は21時まで(19時以降は完全予約制)。

関連ページ

監修:院長 本澤博文(柔道整復師)

  • URLをコピーしました!
目次