交通事故
体の痛みやケガを治療する整形外科、接骨院(整骨院と接骨院は同義のため接骨院と統一します)
結局、どっちに行くのが一番良いのでしょうか?
この疑問は大変多くの方が感じている事と思いますので、接骨院を経営し整形外科でも勤務経験のある館林市本沢整骨院の本澤がお答えします。
※現在は接骨院を経営していますが、忖度なしで回答させて頂きます。
はじめに回答を一言で言うなら、シチュエーションや選ぶ院による。
となってしまいます。
ただこれでは回答になっていませんので、より詳細に解説していきたいと思います。
整形外科と接骨院はそもそもどういうところ?
それぞれの資格について
【整形外科】
整形外科では6年間大学に通った後、国家試験に合格し2年間の実務研修(研修医)を終えた者が診察を行います。
難易度も高く、基本的に学業優秀な人が整形外科医になっていると言えそうです。
【接骨院】
一方、接骨院は柔道整復師と言う国家資格を持ったものが施術を行います。
柔道整復師免許は、3年または4年の養成専門学校や大学を卒業後、国家資格を合格した者に与えられます。
また、接骨院を開業するには3年以上の実務経験を積み、管理柔整師研修を終えている必要があり、接骨院の院長になるには最低6年必要となります。
余談となりますが、整体は国家資格はなく民間の認定資格となります。
さまざまな団体がありますが、最短3ヶ月程度で整体師として認定されます。
法的に出来ない事、出来ない事
整形外科を行うために医師免許と接骨院を行うための柔道整復師免許では、法律で認められている業の範囲が異なります。
この章では、法的に出来ること、出来ない事を解説します。
整形外科の場合
整形外科では、レントゲン検査、注射、手術、薬の処方などほとんどの業務を行う事が許されています。
接骨院の場合
接骨院では、上記に記載されている事は出来ません。
出来ることとしては、骨折・脱臼の初期処置と医師の同意のもとのリハビリ
捻挫・挫傷(肉離れ)・打撲に関しては、医師の同意なく施術を行っていけます。
患者さんの状態をどう見るかの違い
まず、同じ整形外科や接骨院でも、その院によって、どのように患者さんをみるか?(=お体の問題を見極めるか?)は違います。
特に接骨院においては、しっかりしている院とそうでない院の差が激しい傾向にあります。
ここでは、しっかりしている院を前提としてそれぞれの特徴を説明していきます。
整形外科の場合
整形外科では、レントゲンなどの画像診断が中心になります。
患者さんの状態に応じて、エコー検査やMRI検査などレントゲン以外の検査も追加されます。
もちろん、問診や触診なども行いますが、限られた診察時間の中で画像検査が優先される傾向があるでしょう。
接骨院の場合
接骨院では、画像検査が行えない為問診、触診の他動作分析などが中心となります。
各関節の可動域、筋肉の緊張、身体の使われ方、理学テスト(検査機器を使わず、Aの動きでBの症状がある場合はヘルニアの可能性を高めるなどという決まったテスト法)を行う事でお身体の問題を見極めます。
どちらが優れているのか?
画像診断と動作分析どちらが優れているのかを一律で決めることは難しいです。
画像上で異常が認められる可能性があるケース(例えば、骨折の疑いがある場合や、骨の変形が疑われる場合)は画像診断をする必要がありますし、画像上では異常が見られないが、痛みが生じてしまうケースも多く存在し、その場合は動作分析から痛みの原因を考えた方が、症状の改善に結びつきます。
治療法の違い
整形外科と接骨院では、治療のアプローチや考え方も違います。
一般的な整形外科の治療と接骨院の治療の特徴の違いを説明します。
整形外科の場合
整形外科の治療は、投薬が中心となり投薬のみで代謝が出来ない場合は注射、注射でも対処できない場合は手術と進んでいくことが多いです。
リハビリは院によって、力の入れ方に差があり質の高いリハビリスタッフを有して、個別のリハビリプログラムを実践してくれる院がある一方、流れ作業的な電気治療のみという院も多いようです。
接骨院の場合
接骨院では、電気治療や手技療法(マッサージやストレッチ)運動療法(リハビリ)が中心となります。
電気治療は、様々な種類が開発され、痛みに応じて除痛効果が強いものを実施する院も増えてきています。
やはり、院により行う施術に内容・レベルの差があります。
どちらが優れているか?
こちらも、どちらの治療法が優れていると一概に決めることはできません。
痛みの治療は①原因の解明→②原因に対応した施術
が上手く嚙み合った際に効果を最大限出せると考えられます。
よって、痛みの原因が柔軟性にある場合は、整形外科での薬の治療が効かず、接骨院での電気やストレッチが有効に、痛みの原因が関節内の炎症の場合には、整形外科でのお薬や注射が有効となります。
結局どっちを選ぶべき
ここまでの説明を読んでいただいた方は、整形外科と接骨院の特徴は理解いただけたかと思います。
しかし、肝心の「どちらを選べばよいか」は解決していないかもしれません。
この後、より具体的な選択方法を説明します。
シチュエーション別ベスト選択
①軽い捻挫をしてしまった
「歩けるけど、階段は痛い」そんな捻挫と思われる怪我には、接骨院がおススメです。
整形外科ではレントゲン検査で異常がない可能性が高く、リハビリを新設に行ってくれるところは少数です。
怪我のリハビリに力を入れている接骨院を探してみましょう。
②足に痺れがある
足にしびれが生じてしまった場合は、ヘルニアや脊柱管狭窄症などが疑われます。
確定診断には、画像診断が必須となりますので、整形外科でまず検査を受けることをお勧めします。
その後リハビリは、整形外科でフォローしてくれればそのまま整形外科のリハビリに通い、整形外科でリハビリがなく症状の改善が思わしくない場合は、接骨院へ行ってみると良いでしょう。
③ぎっくり腰になってしまった
ぎっくり腰の多くは、検査で痛みの原因が見つからなく、痛み止めも劇的には効かないことが多いようです。
したがって、無理な施術を行わない接骨院がおススメです。
ただし、ぎっくり腰と思った痛みの原因が骨折や内科疾患からの痛みということが稀にあります。
「おかしいな」と思ったら一度整形外科で検査だけでもしてもらう選択肢も持ちましょう。
④交通事故でけがをしてしまった
交通事故でのケガはまず、整形外科を受診しましょう。
事故のケガの証明として、整形外科での診断書が必要です。
その後のリハビリに関しては、整形外科でリハビリを行ってくれないなどあれば接骨院を併用することも出来ます。
良い接骨院の見つけ方
最後に良い接骨院の選び方を説明させてください。
接骨院は院により行う事もさまざまで、先生のレベルもまちまちです。
良い接骨院でなければ、これまであげたことは全て当てはまらなくなります。
こんな接骨院は避けましょう
骨盤が全ての元凶としている院
痛みの原因は多彩で、さまざまな評価や考察を経て原因解明や施術方法の選定が出来ると言えます。
骨盤矯正のみを前面に押し出した接骨院では、全ての原因を骨盤の歪みに結びつけ、正しい評価が行われない可能性があります。
断言している院
「治ります」と断言している院は避けた方が無難でしょう。
治りますと断言している院に限って、様々なリスクや選択しを考慮しておらず、専門家から見れば危ない治療を行っているところが多い印象です。
こんな接骨院がおススメです
接骨院は法的に出来ないことがあります。
その限界を見極め、必要性があれば地域の整形外科に紹介状を書いてくれる、そんなスタンスを取っている接骨院は真摯に仕事を行っており、良い接骨院であると言えます。
いかがでしたでしょうか?
今回の記事が少しでも整形外科や接骨院を選んでいる方のお役に立てれば幸いです。