五十肩や四十肩は専門的には肩関節周囲炎と呼ばれ、その名の通り肩関節周囲に原因不明の炎症や拘縮が生じる疾患です。(今後は五十肩という呼称に統一します)
五十肩について

五十肩は名称の通り50代以降に好発する原因不明の肩関節の痛みと運動制限を伴う疾患です。
経過は長期になることが多く、非常につらい症状を呈する疾患の一つです。
原因は?
明確な原因は解明されていませんが、以下のようなことが原因の1つではないかと言われています。
周囲組織の癒着など
肩関節は関節包と呼ばれる袋状の組織に包まれるほか、多くの靭帯によって補強されています。
この関節包や靭帯の伸張性が低下する事で、肩の動きが制限されたり痛みが発症すると考えられています。
新生血管の存在
近年の研究では、痛みのある部位に一致して多数の枝分かれした新生血管(新たに出来た毛細血管のようなもの)があることが分かっています。この血管の周りには神経も形成され、この神経が痛みを感じていると言われています。
どんな人がなりやすいか
日本人の22.5%が経験すると言われ、発症年齢は40代~70代で全体の8割を占めます。
男女での発生頻度や、利き手・非利き手の差は大きくないと言われています。
基礎疾患として、糖尿病がある方では発生頻度が高くなることが分かっています。
作業環境による発生状況では、デスクワークを行う方の方が発生頻度が高いと言われ、どちらかというと運動不足が原因となる傾向にあります。
(上記出典:肩関節周囲炎 理学療法ガイドライン)
五十肩の経過
五十肩は、完全な回復までには時間を要する事が多い一方多くは、快方に向かうとも言われています。
多くは以下のような経過を辿ります。

五十肩の症状
炎症期は痛みが主な症状となり、痛みのために腕が動かせない、痛みで夜寝れないなどの症状が見られます。
拘縮期には、関節が硬くなり腕の可動範囲が狭くなります。
特に外側から腕をあげる動きや後ろに手を回す動きが硬くなりやすい傾向があります。
緩解期に入るとこれらの症状が緩和し回復に向かいます。
おおよそ1年~2年程度かかることが一般的です。
五十肩の鑑別
五十肩には、似た症状を示す他の疾患もあり、正確な鑑別が必要です。
あなたの肩の痛みが本当に五十肩かどうか、以下の情報を参考にして確認してみてください。
腱板断裂

腱板は、肩甲骨から腕にかけて伸びている筋肉の集まりで、肩の動きに重要な役割を果たします。この筋肉は非常に繊細で、転倒して手をついた際や、スポーツによる使いすぎ、あるいは日常生活の中でも自然に断裂してしまうことがあります。
腱板断裂と五十肩の違い
- 腱板断裂では肩が痛くて上がらない、五十肩では固まって上がらない
- 腱板断裂では肩を上げる途中が痛い、五十肩では最後が痛い
- 腱板断裂は、転倒などで痛め五十肩は自然と発生する
※腱板断裂でも高齢者は自然発症することがある。
また、五十肩と腱板断裂の最も効率的な検査方法は、MRIなどの画像検査になります。
腱板断裂が疑われる場合は、画像検査をお勧めしています。
その他、五十肩に似た疾患
他にも肩関節に痛みと運動痛を生じる疾患として以下のようなものがあります。
- 石灰沈着性腱板炎・・・肩関節に代謝物が沈着し痛みを発生する
- インピンジメント症候群・・・肩関節の動きで衝突が生じ痛みが発生する
- 肩峰下滑液包炎・・・肩関節に炎症が生じ痛みが発生する
- 胸郭出口症候群・・・首や肩で神経が圧迫され痛みが発生する
- 頸椎疾患・・・首で神経が圧迫を受け痛みが発生する
- 腫瘍性疾患・・・何らかの腫瘍が発生または転位し痛みが発生する
このように肩に痛みを生じる疾患はたくさんあります。
あたなたの肩の痛みも本当に五十肩なのか?まずは正確な判断が必要とされます。本沢整骨院の対応
状態の評価
あなたの症状が五十肩なのか別の疾患が疑われるのか?五十肩の場合は炎症期、拘縮期、緩解期のどのフェーズか?痛みや炎症、硬さが生じている組織はどの組織か?などを判断することで効率の良い施術が可能となります。
痛みのコントロール
痛みのコントロールには主に電気治療などを行います。
当院では、鎮痛効果の高いハイボルテージや温熱効果で硬さを和らげるラジオ波などを利用しています。手技療法
マッサージやストレッチ、関節可動域訓練などを行い患部の筋緊張の緩和、可動範囲の獲得を行います。
リハビリ・運動療法
肩関節の痛みや可動範囲を広げるには、肩のみではなく背骨や胸部などを含めて柔軟性を高める必要があります。
マンツーマンでのリハビリ体操を通して低下した機能を高めます。
五十肩の良くある質問
五十肩の施術料金はいくらくらいですか?
選択するメニューにもよりますが、1回当たり2,000円~4,000円程度の範囲でメニューを組み立てています。
どれくらいの期間で良くなりますか?
五十肩の完治までは6ヶ月から2年程度を要すると言われています。
施術を行った場合でも、完治までは6ヶ月程度要する事が多いですが、痛みの軽減は可能です。
したがって、当院での施術目標は完治ではなく痛みをいち早く我慢できるレベルにすることと考えています。
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